矯正のために抜歯が必要なケースがあります。
ただ、一度に何本まで抜歯をすることができるのでしょうか。
できるだけ早く抜歯を終わらせたいと考える人もいれば、できるだけ痛みがないように1本ずつ抜いてほしいという人もいるでしょう。
そこで今回は、矯正による抜歯は一度に何本までなのか解説します。
この記事の内容
歯科矯正による抜歯は一度に何本まで?
まず結論ですが、2本が限界と言われています。
もちろん、1本ずつ抜くこともできますが一度に抜くとなると2本が限界です。
出血量や人手などを考慮しても、基本的に2本以上を同時に抜くことはできません。
通常の矯正治療の場合は何本の歯を抜くのか
通常は上顎2本と下顎2本の計4本をワンセットで抜歯するケースがほとんどです。
もちろん、下顎を抜けば上顎を抜くといった具合に規則的に抜歯することが一般的です。
また、抜歯する部位は小臼歯と言われる部分で犬歯と大臼歯の間にあります。
左右の歯を同時に抜くことはない
そもそも矯正で抜歯が必要なのはなぜ?
そもそもなぜ歯科矯正で抜歯が必要かご存知でしょうか?
「できれば抜歯をしたくない!」と考える人も多いですが、抜歯が必要になる理由を解説します。
【理由1】物理的に歯をきれいに並べる
まずは物理的に歯をきれいに整えるためです。
顎に対して1本1本の歯が大きいケースや「過剰歯」があると、物理的に歯が綺麗に並べるスペースを確保することができません。
歯を動かすスペースがない場合は、すでにある歯を抜くことで対処するしかないのです。
スペースがないまま強引に矯正を進めようとすると、歯茎が下がってしまったり噛み合わせが悪化することが考えられます。
【理由2】矯正治療をスムーズに進めるため
次に矯正治療をスムーズに進めるためです。
例えば親知らずがある場合、抜歯をした方が矯正治療がスムーズに進む場合があります。逆に、周囲の歯に悪影響を与えていないような歯ばかりであれば抜歯をする必要がありません。
ここは医師の判断を仰ぎ、抜歯をする必要があると診断された場合は応じた方が綺麗に矯正が終わります。
【理由3】口元を整える
顎にスペースがない状態で矯正治療を進めると、前歯が前に押し出されてしまい口元が前に突出した形になることがあります。
こうなってしまうと正面から綺麗に見えても、Eラインなどの横顔のバランスが綺麗に見えません。横顔のバランスを重視する人は多いため、事前に抜歯をしなければなりません。
矯正治療後に口元のバランスがおかしくなってしまったと後悔する人は多くいるというデータもありますので、事前にどういった口元になるのかを医師と相談しておきましょう。
歯科矯正による抜歯治療の流れ
ここからは実際に抜歯を行う時の流れについて見ておきましょう。
①局所麻酔を行う
まずは、局所麻酔を行います。抜歯は痛みを伴いますので、局所麻酔は欠かせません。
局所麻酔自体に痛みを伴うケースもありますが、近年の医療技術発達により痛みを伴わない局所麻酔も存在します。
②抜歯をする
続いて、抜歯を行います。多くの場合1本あたり数分ほどで抜歯は完了します。
一度につき2本が限界ですので、長くても10分ほどの治療時間で終わるケースがほとんどです。
③ガーゼを噛む
続いて、ガーゼを噛みます。
抜歯後は止血が必須です。ガーゼを噛むことで止血効果もありますし、口の中に血が巡ることを防ぐこともできます。
④治療完了
止血が確認できれば治療は完了です。
場合によっては抜歯後に縫合をする必要がありますが、その場合はもう少しだけ治療時間を要します。
抜歯をせずに矯正治療を進めるには?
一方で抜歯をせずに矯正治療を進めるケースも多くあります。
その方法を3つご紹介しますが、採用するかどうかは医師の判断に委ねられることが多いです。
①拡大床
いわゆる非抜歯矯正治療で用いられる装置に「拡大床」があります。
「拡大床」は一般的に子供の歯科矯正治療で用いられており、子供の顎の成長を利用して歯列を拡大していくために使われます。もちろん、子供だけでなく大人が「拡大床」を利用して矯正をすることも可能です。
「拡大床」を使うことができれば、大人でも抜歯をせずに矯正治療を進めることができます。
②アンカースクリュー
続いて、アンカースクリューを用いる方法です。
アンカースクリューとは、セラミック製の小さなネジのことを言い、歯槽骨に埋め込むことで矯正治療を進めます。
従来の歯科矯正治療よりも効率的に歯の移動をさせることができるため、多くのクリニックで採用されている治療方法です。
「拡大床」はほお側に歯列を拡大させるのに対し、アンカースクリューでは後方に歯列を移動させることができます。
ケースバイケースで「拡大床」を用いるかアンカースクリューを用いるかが変わってきます。
③IPR(ディスキング・ストリッピング)
続いて、IPR(ディスキング・ストリッピング)を用いる方法です。
IPR(ディスキング・ストリッピング)はいわゆる「研磨処置」と言われる矯正治療方法です。
歯の表面を削り移動スペースを確保する方法で、歯のエナメル層の1/3(0.2~0.5mm)程度を削ります。
抜歯後の注意点は?
基本的に矯正治療には抜歯は欠かせません。抜歯をした後に注意すべきこととしては以下のようなものが挙げられます。
・麻酔後2~3時間は食事を避ける
・抜歯当日に激しい運動や長時間の入浴はしない
・抜歯後2~3日は強いうがいをしない
・抜歯治療部分を舌で刺激しない
・医師の指示に従う
抜歯後の治療部分を舌で刺激し続けると止血が終わりません。また、医師の指示に従って痛み止めを飲むことも大事です。
歯科矯正に関する抜歯のまとめ
今回は、矯正による抜歯は一度に何本まで可能なのかについて解説しました。
基本的には一度に2本が限界と言われます。出血量や治療事情により2本以上を一気に抜歯することはできません。
また、抜歯は上顎2本と下顎2本の計4本セットで行うことが多く1週間以上の期間を開けることが一般的です。
透明マウスピース矯正のZenyum(ゼニュム)では、抜歯が必要か否か事前に歯科医師に相談することが可能です。
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